10. 林業再生と木質バイオマス利用

近年の石油価格高騰もあり、補助事業による石炭発電への混焼などしだいに林地残材の利用が現実味をおびるようになってきた。特に熱利用、生木ボイラ向けであれば、木質バイオマスに1万6000円/㎥払える事例も出ている。もちろん、相対的に価格の低い木質バイオマスだけで山村振興を行うことは難しい。

木材自給率50%と言った場合、中身が問題となる。低コスト化の追求で「林業栄えて山村滅ぶ」にならないよう、山村に還流するしくみをつくることが重要であり、内装材商品など材の付加価値化、炭素クレジット、教育を通した都市から山村への人と資金の還流、補助金などを適切に実現していく必要がある。

今後、石油需要がひっ迫し、しだいに使いにくくなる時代が遠からず訪れると考えられる。また、これからの住宅需要や木材需要の変化も見通す必要がある。その時に備えて、国内の森林資源を生態系のシステムが機能する持続可能な形で利用していくしくみを今から考え、構築していく必要があろう。


* 森林・林業についてさらに詳しくは「バイオマス関連資料」「バイオマス関連の主な書籍」等も参照のこと