4. 国産材はなぜ使われないのか

国産材の大半は、木造戸建て住宅に使われている。国産材の消費量が減った理由のよくある誤解は「安い外材に押された」だが、これは必ずしも正しくない。1960年代、供給量が少なく需要量の多かった時代は、材の質が悪くても売れた。表示された寸法より短かったり、体積が少ない、納期を守らない、市場価格が高くなれば契約した価格をつり上げる、大量注文すると単価が上がるといったこともまかり通っていた。

外材が解禁され、構造材に外材が入っていくようになると国産材は、役物と呼ばれる銘木やヒノキ材に活路を見出し、むしろ多労働投入型の林業・木材産業へと移行していく。一方、川下ではハウスメーカーが登場し、大量に画一的な住宅を供給し始めた。ハウスメーカーは、均一な品質、大量仕入れ、安定・大量供給によるコスト削減を行い、材は事前にカット(プレカット)し、工期を短縮する。工務店が半年かけて建設する住宅なら自然乾燥で対応できていたが、この工法の変化により、人工乾燥された材が求められるようになった。しかし、国産材で人工乾燥されているのは現在も2割程度にすぎない。

さらにハウスメーカーは柱など構造材が見えない大壁工法や、プレハブパネル工法、ツーバイフォー工法などを採用し、従来の真壁工法が衰退していく。床の間で高級感を演出してきたが、しだいにライフスタイルの変化から、畳や和室がない住宅も出現してきた。それにともない、「役物」の需要も少なくなった。現在、フローリングや扉、壁等の内装材で木材需要はあるが、国産材はこうした商品の開発に後れをとるようになった。