日本の人工林の年間成長量は、1億㎥以上(立木材積)と推定されている。最近の日本の木材需要量は8000万㎥程度(丸太材積)であり、その5割程度は十分まかなえるだけの資源量が存在する。また、価格的にも現在、外材よりも杉材の方が安価である(図3)。 にもかかわらず、なぜ、日本の木材自給率は2割程度なのだろうか?
図2:用材供給量と自給率の推移(出所:森林・林業白書)
図3:丸太価格の推移(1965年〜2005年)(出所:森林・林業白書)
2010年1月15日、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク主催、W-BRIDGE共催より、「日本の森林バイオマス利用を進めるには〜日本林業復活のための提案〜」が早稲田大学で開催された。伊藤幸男氏(岩手・木質バイオマス研究会会長/岩手大学)「木質バイオマスの持続的利用と森林・林業・山村の再生」、熊崎実氏(日本木質ペレット協会会長/バイオマス産業社会ネットワーク理事)「森林・林業再生の狙いをどこに定めるか」、田中淳夫氏(森林ジャーナリスト)「国産材が使われない理由」、加藤鐵夫氏(日本森林技術協会専務理事/元林野庁長官)「持続可能な森林経営研究会の取り組みと提言」、湯浅勲氏(日吉町森林組合参事)「日吉町森林組合の取り組み」、相川高信氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)「新政権の森林・林業再生戦略とポリシー・ウォッチの必要性」等の講演が行われた。
パネルディスカッション「日本林業復活のための提案」では、講演者の他、岡田久典氏(早稲田大学W-BRIDGE運営委員)が加わり、最後に金谷年展氏(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科教授)によってコメントが出された。約250名の参加者を得て、非常に活発な議論が行われた。本特集は、このシンポジウムでの講演内容・資料および議論を、編集部の責任で再構成したものである。