バイオマス利用先進国と言えば、これまでスウェーデンやデンマーク、あるいはドイツといったイメージが強かったが、急速に注目が集まっているのが、オーストリアである。
オーストリアの森林の大半は、オーストリアアルプスと呼ばれるように、日本と同じく急峻な山林である。30年ほど前まで林業が衰退していたが、合理化努力や政策によるテコ入れにより、林業の復興に成功し、日本にも製材品を輸出している。2004年には、バイオマス発電等による電力の固定額での買取制度を開始し、バイオマス発電が急速な伸びを見せている*2。こうした状況をうけて、伝統的な工業技術を応用した高性能の木質バイオマスエネルギー機器メーカーが次々創業・集積し、中・東欧へのこれらの機械の一大輸出拠点となっている。
メタンガス利用でも先行しており、日本で導入されているメタンガス発電設備には、オーストリア製のものが多数含まれている。オーストリア第二の都市、グラーツではタクシー会社の6割でバイオディーゼル燃料(BDF)を採用、市バスのBDFシフトも進み、2005年中ごろには全市バスに普及する見込みといったように、BDF利用促進も行っている。
駐日オーストリア大使館では、2005年4月にも、林業の再生と木質バイオマス燃焼機器普及を主題とするシンポジウム開催を予定している*3。
日本のようにせかせかしないが、別に貧困ではない。重厚な歴史と豊かな文化を有し、現代生活と「スローライフ」を見事に調和させている国として、2005年、さらに関心が寄せられるようになるかもしれない。
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