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トピックスⅠ
国産材利用拡大と木質バイオマス利用
トピックスⅡ
バイオ燃料とランドラッシュ
2010年の動向
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3. マテリアル利用の動向

2010年は世界的なCO2削減の動きを受けて、バイオマスのマテリアル利用の研究や実用化が大きく進展した年であった。

バイオマス・プラスチック分野では、お茶やミネラルウォーターに約30%の植物由来樹脂を使ったバイオPET(ポリエチレンテフタレート)が身近な商品として目にするようになった。バイオPETは、サトウキビの廃糖蜜を発酵・精製してエタノール、エチレンを経てつくられる。コカ・コーラでは、このボトルをプラントボトルという商標で積極的にアピールをしている。

これまで植物由来樹脂といえば、ポリ乳酸であったが、耐熱性が低く、成形性に劣るという課題があり、石油系樹脂の代替として使うことが難しい側面があった。しかし、帝人では結晶構造を変えることで石油系ポリエステル(PBT、PBT)に匹敵する融点、200℃以上を有し、マツダの水素エンジン車のシート、携帯用ボルダ―、メガネフレーム素材に採用されている。

石油系樹脂の単純な代替だけでなく、高機能なエンジニアリング樹脂分野を植物由来にする動きも盛んである。トウゴマから採れるひまし油由来のポリアミドは、300℃を超える高融点(耐熱性)のある素材が開発された。デンソーのラジエータタンク等に使われ、石油由来の15%をひまし油由来のポリオールに変えてウレタン発泡させたものは、トヨタのクッションシートに使われている。三菱化学では、植物の糖類の一種グルコールからできた「イソソルバイト」を利用した樹脂で、ポリカーボネートの代替としてのサンプル販売が始まった。東レでは、微生物の発酵技術を使って植物繊維の主成分であるセルロース原料を出発点にして石油製品と同等の強度をもつ植物由来ナイロンをつくることに成功し、リコーでは、ポリ乳酸ではない植物由来トナー、京セラミタでは、植物由来ポリエステルを使ったトナーも開発されている。植物由来という売りだけでなく、高機能な物性を併せ持つバイオマス・プラスチック開発が今後増えていくものと考えられる。

バイオマス・マテリアルの最も身近なものの一つに木材由来製品がある。これまで海外では実用化され、一部輸入されていた木質繊維断熱材が、2010年から本格的な国内生産が始まっている。北海道苫小牧市に、木から住宅用断熱材をつくる工場が竣工された。この木の断熱材を製造する㈱木の繊維では、道産材を解繊して、積層することで厚みを出した断熱材を製造し、従来のグラスウール、ロックウールの断熱材と同等以上の断熱性能を有し、天然であることから調湿機能をもつことが大きな特徴となっている。価格も現在流通している自然系断熱材の羊毛並みに抑えられ、環境や健康に熱心な工務店や消費者からの支持が徐々に広がっているという。

木の繊維

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同じ北海道では、北見市が「産業用大麻特区」の認定を受け、酩酊作用あるTHC含有量の低い産業用大麻を休耕地で栽培し、新しい産業を生み出すための試みに挑戦し、十勝地域では「亜麻(フラックス)」を対象とした、食品、建築、敷料、観光などのビジネス化に挑戦している。北海道では、新しいバイオマス・マテリアル開発の実践の場となっており、日本での農林業から新しい工業製品つくるモデルになることが期待されている。

<赤星 栄志(Hemp-revo,Inc.COE)>

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