世界的にも、今年もまたバイオ燃料の話題が多かったが、ここでは、バイオ燃料以外について取り上げる。
IEAは2008年11月、2008年版世界エネルギー見通しを発表し、世界のエネルギー需要は対策がなされなければ、2006年から2030年にかけて45%増加すると予測した。世界の気温上昇を2℃以内にするには、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を26ギカトン以内にし、長期的に削減する必要がある。低炭素エネルギーの割合を2006年の19%から2030年には36%に増やし、エネルギー関連への投資額を9兆3000億ドル(世界のGDPの0.6%)増額する必要があるとしている。
EUの2006年の固形バイオマス(木材、木質廃棄物及びその他の動植物性固形物質)由来の一次エネルギー生産量は、6,240万石油換算トンに達し、前年に比べ310万石油換算トン増加した*。加えて、再生可能な都市固形廃棄物由来の一次エネルギー生産は2007年に614万石油換算トンとなった。固形バイオマスの内訳では、丸太(木材)、木質廃棄物(ウッドチップ、おが屑、木質ペレット、伐採残渣など)、黒液の順となっている。また、2006年に欧州で生産された木質ペレットは460万トンに上り、前年の300万トン程度から大きく増加した。固形バイオマスの主要生産国は、フランス、スウェーデン、ドイツ、フィンランドの順となっている。固形バイオマス発電量も大きく伸び、2005年の416億kWhから2006年には458億kWhへと増加した。
EUの2007年のバイオガス生産量は590万石油換算トンに上り、前年比20.5%増加した。内訳で見ると、埋立地由来バイオガス(ランドフィルガス)、農業バイオガス等、廃棄物処理場由来バイオガスの順となっている。国別では、ドイツ、イギリス、イタリアの順となっている。ドイツでは2008年3月、バイオメタンの注入促進を目的とした、ガス供給網への注入に関する新しい法律が成立。2008年6月には、再生可能エネルギー法が改正され、農業由来バイオガスや埋立地ガス由来電力の固定買取価格が上乗せされた。活況を見せるドイツの農業由来バイオガスだが、トウモロコシや小麦などのエネルギー作物を原料とするものがほとんどであり、バイオ燃料と同じく、農産物生産を含むトータルでのエネルギー収支や環境的制約への配慮が指摘されている。
中国では2007年に「再生可能エネルギー中長期ビジョン」が採択され、再生可能エネルギーの割合を2006年の6%から2010年までに10%、2020年までに15%に引き上げるという高い数値目標を掲げている。中国では、バイオマス発電は「緑色電源」として史上空前のブームとなっており、2006年末に都市ゴミ焼却・発電、サトウキビ発電、稲ワラ発電を含めた中国のバイオマス発電の設備容量は220万kWに上り、以後も新規案件が大幅に伸びている。同ビジョンによれば、バイオマス発電の総設備容量は、2010年に400万kW、2020年に2,400万kWに拡大する。2006年に施行された「再生可能エネルギー法」により、ワラ等を燃料とするバイオマス発電所からの電力全量買取義務づけ、また様々な優遇措置も設けられている。