バイオマス由来自動車燃料時代の序章

(1)世界に広がるバイオマス由来自動車燃料

 エタノール(エチルアルコール)、メタノール(メチルアルコール)といったアルコール燃料や、菜種油などからつくられるバイオディーゼルは、従来より自動車燃料として使われてきた。特に、ブラジルや米国では、サトウキビやトウモロコシからつくられたエタノールを、大量に自動車燃料に利用している他、ドイツを中心としたEU諸国ではバイオディーゼルの活用が強力に推進されている。

 

(2)CO2削減に効果の高いバイオマス由来燃料

 資源エネルギー庁の試算によると、バイオマス由来燃料の製造・供給・使用に伴うCO2の排出量は、エタノールがガソリン比55〜87%減、バイオディーゼルは軽油比43〜72%減となる。
 このバイオマス由来の自動車燃料の利用は、有効な地球温暖化対策の一つとして注目を浴びるようになり、「バイオマス・ニッポン総合戦略」でも取り上げられている。
 世界的にも、2020年にはバイオマス由来のものが自動車燃料の20%、2100年には約半分に達する可能性も示されている。また、自動車燃料以外の様々な燃料分野でもバイオマス由来の燃料利用が各地で導入・検討されるなど、バイオマス燃料時代の到来をうかがわせる。

 

(3)わが国でも本格的導入へ

 わが国でも、2003年8月、経済産業省(資源エネルギー庁)が自動車用ガソリンへのエタノール混合率3%を上限として安全性を是認し、関係規則の改正を行って施行したのを受けて、環境省が2003年10月にエタノール3%混合ガソリン(E3)普及のための「ロードマップ」を作成。全国普及の目標を2012年と設定し、国内バイオマス資源から製造したエタノールを核としたE3の供給を全国に拡大していく予定で、関連設備の整備が大阪や北九州等で2004年から開始される。
 民間レベルでも、菜の花プロジェクトの全国的拡大や、日揮や月島機械・丸紅などのグループによる農業廃棄物・廃材といった資源からエタノールを生産するプラントが実用化段階に入った。また、京都市におけるごみ収集車燃料にバイオディーゼルを利用していることを筆頭に、いくつかの自治体で製造・利用の両面で取組みが深化しつつある。
 一方で、バイオマス由来燃料の普及拡大には、安全性、国内でバイオマス由来燃料を調達することの採算性の問題、安易な輸入拡大による開発途上国への環境影響問題など様々な問題が山積しているといえよう。


 

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