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2013年の動向

2 国内の動向

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1. バイオマス利用の概要

エネルギー白書2013によれば、日本で2011年に利用されたバイオマスエネルギー(廃棄物エネルギーを含む)は原油に換算すると1,148万㎘で、一次エネルギー国内供給量54,615万㎘に占める割合は2.1%だった【*16】。

電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法にもとづく2012年度のバイオマス発電による電気供給量は、約44億kWh(4,428,332,024kWh)だった【*17】。同じく、2013年4月から2014年1月までのバイオマス発電記録量は、973,477,000kWhであった【*18】。(2012年に施行された再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度への移行などで219件がこの制度から廃止したため、前年に比べて大きく減っている。)

木材需給表によれば、2012年の薪炭材等の総需要量は、111万9千㎥で、国内生産が19万6千㎥、輸入が92万4千㎥となっている【*19】。

全国バイオディーゼル燃料利用推進協議会が会員から集計した結果では、2011年度のバイオディーゼルの年間製造量は8,593㎘、製造コストは98.2円/ℓだった【*20】。

2012年度に実施された、バイオマス・廃棄物による発電利用及び熱利用の導入実績調査によると、2011年度におけるバイオマス・廃棄物発電・熱利用導入実績の推計結果は、下記の表の通りである。(この表には、製紙業における黒液・廃材による発電量7,962GWh(187.6万原油換算㎘)および熱利用225.4万㎘の推計結果は含まれていない。)

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表:2011年度におけるバイオマス・廃棄物発電・熱利用導入実績の推計結果

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農林水産省は、2013年6月、バイオマス生産から利用までの一貫システムを構築するバイオマス産業都市として8カ所(北海道十勝地域、北海道下川町、北海道別海町、宮城県東松島市、茨城県牛久市、新潟県新潟市、愛知県大府市、香川県三豊市)を、2014年3月に同じく8カ所(北海道釧路市、北海道興部町、宮城県南三陸町、静岡県浜松市、三重県津市、島根県奥出雲町、岡山県真庭市、岡山県西粟倉村)を選定した【*22】。

また2014年2月〜3月に、バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会【*23】が開催され、国産バイオエタノール生産事業の評価・検証を行った。同委員会では、構想時に想定していなかった外的環境の変化等により、3カ所の拠点いずれでも生産コストの目標に達していないことが報告された。

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2. 廃棄物、メタンガス利用の動向

FIT制度で認定された廃棄物処理場は、2013年末時点で、25カ所、稼働している施設は14カ所となっている(表:バイオマス発電設備認定状況参照)。バイオマスのエネルギー利用では、製材工場の端材を材の乾燥に用いるといった、出たその場で使う「オンサイト利用」か、バイオマスをドライとウェットに大別し、地域で集約して利用するのが合理的だと考えられる。

その点、廃棄物処理場は自燃するドライバイオマスを集約し、熱利用も含め地域のエネルギー利用施設として位置付けられるべきだと考えられる。例えば、金沢市は2013年12月に、間伐材500tを西部環境エネルギーセンターに投入するバイオマス発電の試験運転を開始した【*24】。前述したように木質バイオマス発電事業にはさまざまな困難があり、多少発電効率は落ちるが、こうした混焼もケースバイケースで考えられよう。

メタン発酵によるバイオマス発電も、FIT制度認定数は同じく北海道を中心に39カ所、稼働施設が15カ所と増えつつある。メタンガスの場合、小規模でも一定の発電効率を確保できることもあり、一カ所あたりの規模は150kW程度と小さい。メタン発酵においても、公共工事的ではなく、民間のニーズにあった機器のラインナップやエンジニアリングが求められている。

FIT制度の導入を受け、各地で新たな試みが始まっている。

兵庫県にある南但クリーンセンターでは、可燃ごみを選別し、高温乾式メタン発酵を行って発生させたメタンガスを382kWのガスエンジン発電機で発電、その残渣を併設する可燃ごみを燃やす熱回収設備で焼却処理している。通常行われる廃棄物発電には同施設は規模が小さいため、こうした方式がとられた【*25】。

神戸市は、大阪ガスの子会社エネジーバンクジャパン(EBJ)が提供する、顧客が初期投資なしで再生可能エネルギー発電設備を設置できるサービスにより、神戸垂水処理場に消化ガス(バイオガス)コジェネレーションを設置した。EBJが資金調達、発電設備の設置・運営などを行い、神戸市は事業用地の提供、バイオガスの供給などを行う【*26】。

また、長崎県大村市は月島機械と契約を結び、市が運営する大村浄水管理センターに250kWのメタン発酵発電設備を導入する。月島機械が設備の建設と運営を引き受け、大村市は土地と消化ガス(メタンガス)を提供し、ガス料金や土地使用料、温水を受け取る。月島機械は発電した電力をFIT制度で九州電力に販売するという、自治体に負担金のない民設民営方式である(下図)。

図:大村浄水管理センター消化ガス発電事業スキーム

図:大村浄水管理センター消化ガス発電事業スキーム【*27】

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群馬県高崎市の資源再生業アープは2013年3月、廃食油を燃料とするバイオマス発電のFIT認定を受けた【*28】。また、山形県最上町の大場組は、運営する産業廃棄物処理場の熱源を利用したハウス園芸を行っている。胡蝶蘭やマウンテンチェリー、中玉トマトなどを栽培している。

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3. 今後の展望

富士通総研の調査によると、ドイツのバイオガス普及の際には、FIT制度などのビジネスチャンスに参入した多数の中小企業が重要な役割を果たした。さまざまな原料サンプルの成分分析データに基づいたメタン発酵の最適な条件の特定や、原料の性状に適した前処理設備の開発を行った。個別の条件に合わせた施工、計画から運用段階までのコーディネーションも担っている【*29】。日本でもこうしたビジネスやサービスの普及が望まれる。

また、バイオマス利用があたりまえの経済行為となるには、地域の燃料事業者、ボイラー事業者がバイオマスも扱うなど、取扱事業者の育成も重要である。この点、北海道下川町では、町内のガソリンスタンド、灯油販売業者を中心に「下川エネルギー供給協同組合」がつくられ、木質チップ製造設備を管理し供給を担うようになった。また、東北の42のチップ業者が連携し、2013年6月「東北木質燃料サプライヤー協議会」が設立された【*30】。FITにより木質バイオマス発電が稼働することにより、地域に木質チップ市場ができ、チップボイラーの普及が容易になる面も出てくると考えられる。

バイオマスは、燃料の運搬・備蓄が可能で需要に合わせた利用ができる、貴重な再生可能エネルギーである。最終的にバイオマスは、バイオマスでなければまかなえない用途、具体的には寒冷地の暖房・給湯、産業用熱(製材、製紙、セメント、食品加工、クリーニング等)およびコジェネレーションを主要な用途とするといったことが妥当と考えられる。

これまで失敗も多かった日本のバイオマス利用だが、長期的影響を含めた費用対効果に優れた利用を中心にして強力に推進すれば、近い将来には経済性のあるエネルギー利用として、普及することが期待できよう。

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