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トピックス 再生可能エネルギー熱普及に向けて

再生可能エネルギー熱普及に向けて

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1. エネルギー需要における熱利用の概要と再エネ熱普及拡大の必要性

菅総理が、2020年10月の所信表明演説で2050年カーボンニュートラルを宣言されたことは、非常に意義深い。世界的に低炭素から脱炭素への急速な流れがある。電化とゼロエミッション型の電源、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)は効果的である。石油の大半の消費となっている車の電化が求められている。次ページの図3にあるように、最終エネルギー消費量の26%が電力で、7割は熱であり、ゼロエミッションの達成のためには、熱需要の脱炭素に持っていくことが重要である。電力はロスが大きい。熱(輸送を含む)の内訳では、石油が多い。

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シンポジウム「可能エネルギー熱の普及拡大に向けて」

日本も、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする方針を打ち出した。その実現のためには、日本の最終エネルギー需要の半分を占める熱利用分野における再生可能エネルギー熱(バイオマス、太陽熱、地中熱、地熱等)の普及拡大が不可欠である。しかし、温暖化対策の関係者の間でも、再生可能エネルギー熱に対する関心はまだ低い状況にある。

欧州などでは熱戦略や熱ロードマップが策定され、再生可能エネルギー熱利用を促進する政策が実施されており、日本でもそうした取り組みが早急に求められると考えられる。熱需要には空調、給湯のように比較的低温のものから、産業用の高温のものまで幅があり、再生可能エネルギー熱でもそれぞれの特徴を生かした促進策が望まれる。

再生可能エネルギー熱普及拡大に向けて、断熱、省エネ、排熱利用などそもそもの熱利用の在り方の見直しも含め、どのような対策が費用対効果にすぐれ、持続可能な社会構築に向けて有効かについてディスカッションを行う、シンポジウム「再生可能エネルギー熱の普及拡大に向けて」を2021年1月15日、オンラインで開催した。

基調講演では、東京工業大学特命教授・一般社団法人日本サステナブルコミュニティ協会代表理事副会長の柏木孝夫氏が「エネルギー需要における熱利用の概要と再エネ熱普及拡大の必要性」について解説された。続いて、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の高橋渓氏が「2050年カーボンニュートラルに向けた熱エネルギー政策検討の必要性」、認定NPO法人環境エネルギー政策研究所主席研究員の松原弘直氏が「欧州の再生可能エネルギー熱の現状と展望〜欧州熱ロードマップと第4世代地域熱供給〜」、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会副会長の加藤鐵夫氏が「木質バイオマス、太陽熱、地中熱の3団体による再エネ熱普及拡大の提言」についてそれぞれ講演された。

パネルディスカッションでは、経済産業省資源エネルギー庁新エネルギー課課長補佐の橋本 潤氏と環境省地球環境局地球温暖化対策課課長補佐の野尻 理文氏が加わり、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク泊みゆきが司会を務めた。300名余りが参加し、参加者からの質問もまじえ、非常に活発なディスカッションが行われた。

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写真:シンポジウムの様子(オンライン)
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2020年1月に出たイノベーション・アクションプランの重点領域では、①の非化石エネルギーに太陽熱、地中熱、地中熱、未利用熱、バイオマスといった再生可能エネルギー熱も位置付けている。バイオマス燃焼で出たCO2を植物工場に入れてカーボンマイナスとすることも可能である。②のエネルギーネットワークでは電力のネットワークだけでなく、熱のネットワーク、地域熱供給をうまく構築していくことも重要になってくるだろう。その他 ③水素 ④カーボンリサイクル ⑤農林水産業のゼロエミ が挙げられている。

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略として、14課題をピックアップした。⑫の住宅・建築物では、太陽光発電と太陽熱を一体化するZEHが重要になってくる。団地の屋根に太陽光、太陽熱温水器を置き、熱パイプでつなぐ。電気、熱のエネルギーセンターを設置して機能させれば、地域のスマートマイクログリッドが構成されていくだろう。

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図3:我が国の一次エネルギー供給量・最終エネルギー消費量内訳(2018年)

図3:我が国の一次エネルギー供給量・最終エネルギー消費量内訳(2018年)

出所:柏木孝夫氏資料

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2. 熱利用の概要と再エネ熱普及の必要性

熱エネルギー政策の全体像がなかなか見えてこない。まず、熱需要は多様であり、把握が難しく、統計上は燃料消費量しか把握していない。関連する政策範囲が広く、そもそも熱エネルギー政策という概念がない。

熱に限らない政策の一部が熱に関連していて、「熱エネルギー政策」とは、熱から見たエネルギー政策の再整理だと言えよう。熱エネルギーにかかわる主な政策としては、低炭素社会実行計画、省エネ法、建築物省エネ法、トップランナー制度、再エネ熱にかかわる補助金などがある。省エネ法では、石炭・石油・天然ガスの排出係数が加味されていない。建築物省エネ法では、諸外国に比べて建物性能の基準は遅れている。

熱の脱炭素化の課題としては、経済性だけでなく、情報不足や限定合理性、リスク、隠れた費用など人間の認知バイアスにより生じる課題や構造的な課題も多く、規制やナッジ(行動科学に基づくアプローチ)による解決が期待される。例えば、賃貸住宅やオフィスにおいては、オーナーが省エネ対策を行っても目に見えた便益を享受できないことから、断熱性能や熱機器の効率が無視される傾向がある。これは、ヨーロッパ諸国で行われているように、賃貸物件の省エネ性能を見える化し、借主が省エネ性能を物件選択の基準に含めるといった方法が考えられる。

熱エネルギー政策としては、英国の連立政権時代(2010-2015年)に策定された熱ロードマップが参考になる。課題や政策ミックスが、長期的、供給・需要別、部門別に経済的インセンティブから規制措置までミクロ的にわかりやすく整理されている。

また、欧州では、単に目標を設定するだけでなく、外部費用(≒CO2排出が社会に与える損失等)を含めた費用便益分析を重視している。欧州は、熱需要の半分が暖房であり、脱炭素化した地域熱供給に力を入れている。欧州に比べて気候条件が温暖な日本は地域熱供給にこだわる必然性はないが、熱供給オプションの費用便益分析を実施することは重要である。

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図4:我が国の一次エネルギー供給量・最終エネルギー消費量内訳(2018年)

産業分野における低炭素熱のための英国政府の戦略的枠組み【*9】

仮訳:NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク

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2050年カーボンニュートラルのイメージでは、再エネ化が難しい非電化分野でのバイオマス等の新燃料が期待される。

再エネ熱は固有の温度特性を持つことから、熱需要の温度帯に合わせて使用することが重要である。空調・給湯のような比較的低い温度帯は空気熱、地中熱、太陽熱、廃熱などで、産業用等の高温度帯は持続可能なバイオマスでまかなうことが考えられる。ただし、現状ではバイオマスの産業用熱利用は、産業界の燃料コストが大口顧客であることによる割引や、輸送燃料以外の燃料税が低水準のためかなり安いことなどから、建築廃材等の低価格のバイオマスでないと許容されにくい。バイオマスは現状ではFIT制度による政策支援を背景に発電向けに使用されることが多いが、将来的には高温熱の有効な手段として期待される。ただし、バイオマス資源量に限りがあるため、それだけで産業部門のカーボンニュートラル達成は難しい。

また、木質バイオマスについては、木材をマテリアル利用する方がエネルギーとしてすぐ燃焼するよりも気候変動対策としての効果は上がる。マテリアル利用が困難な部位や使用後の廃材をエネルギーに使うカスケード利用が重要である。 今後の人口減少と高齢化を考慮すると、日本では脱炭素化に向けて、エネルギー政策、産業政策、都市政策を合わせて議論していくことが重要と考えられる。その中で、2050年カーボンニュートラルに向けて、熱の観点を含めた総合的な政策検討が必要だと考える。

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3. 欧州の再生可能エネルギー熱の現状と展望

2020年、IRENA、IEA、REN21がRenewable Energy Policies in a Time of Transition : Heating and Cooling(移行期における再生可能エネルギー政策:熱)【*10】というレポートをまとめた。(コラム⑥参照)その中には持続可能なバイオマスも位置付けられている。世界の最終エネルギー消費における熱分野のエネルギー源は、7割が化石燃料、2割がバイオマスである。

欧州では電力部門だけでなく熱部門でも自然エネルギーの割合が高く、EU28カ国の2018年実績では18%程度となっている。EU全体では、バイオマス発電の56%がCHP(熱電併給)である。太陽熱による地域熱供給は、デンマークを中心に発展してきたが、近年はドイツ、オーストリアでも導入されている。

2016年に策定された、EUの熱エネルギー戦略(Heating & Cooling Strategy)では、地域熱供給が重要な位置を占めている。地域熱供給が普及している国ほど、熱分野の自然エネルギー導入が進んでいる。脱炭素化に向けて第4世代、第5世代地域熱供給さらにはスマートエネルギーシステムへ移行しつつある。

欧州熱ロードマップ2050(Heat Roadmap Europe 2050)は、地方、国家、EUレベルでの長期的なエネルギー政策をサポートし、脱炭素エネルギーシステムへの移行を推進する科学的根拠を示す研究である【*11】。8つの重要な知見として、①欧州の市場ですでに導入されている既存の技術とアプローチにより温冷熱部門の脱炭素化は可能 ②経済的に脱炭素化のゴールを達成するには需要側と供給側のエネルギー効率化が必要 ③既存の建築物の改修と産業部門での投資には、より大きな支援と高い省エネルギー目標が必要 ④大部分の都市部では、地域熱供給は他のネットワークおよび個別のソリューションよりも技術的および経済的に実行可能であり、再生可能エネルギー、大型ヒートポンプ、余剰熱およびコジェネレーションの使用により脱炭素化が可能 ⑤地域熱供給による冷暖房が限られる地域では、個別の熱供給は、変動する再エネの統合が可能なヒートポンプが有効 ⑥今のところ冷熱需要は温熱需要に比べると小さいが、将来は増加する傾向にある。将来は冷熱需要に対するソリューションが重要 ⑦温冷熱部門は変動する再エネの増大や系統の柔軟性に重要な役割を果たすことができる ⑧エネルギーシステム内の温熱及び冷熱のシステムを一貫してモデル化、分析および設計するには、その分野に固有のツールと方法論が必要であり、将来のエネルギーシステムの脱炭素化に貢献する開発ロードマップと戦略のために重要である。

また、欧州全域の熱需要マップ、排熱マップ、太陽熱ポテンシャル等の再エネマップなど10種類のPetaマップが利用できるようになっている【*12】

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4. 再生可能エネルギー熱の利用・普及のための政策提言

2020年12月、日本木質バイオマスエネルギー協会、ソーラーシステム振興協会、地中熱利用促進協会による再エネ熱利用促進連絡会は、太陽熱、地中熱、バイオマス熱といった再生可能エネルギー熱の利用・普及のための政策提言をまとめた【*13】

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再生可能エネルギー熱の利用・普及のための政策提言

1. 基本的な政策

再エネ熱の普及を政策として取り上げ、目標を明確にする。

  • (1)次期エネルギー基本計画や地球温暖化対策計画で再エネ熱の普及目標を明確にし、目標実現までの課題を整理し実行ロードマップを策定する。更に、地球温暖化対策税の拡充と再エネ熱の導入義務化を検討すべきである。
  • (2)精緻な分析を行うため、現在の実態(導入量、普及課題など)を正しく把握する。
  • (3)分散的で安全な社会を目指すウィズコロナの諸政策に反映させる。

2. 個別の政策基本的な政策に加え諸外国の事例を参考にしながら次の個別政策を提案する。

  • (1)自立的モデルの育成と横展開ができる支援制度の実施
  • (2)需要と供給のマッチング
  • (3)自治体と連携した政策の推進
  • (4)技術開発(イノベーション)への継続的な支援
  • (5)事業者育成と人材育成への取り組み
  • (6)技術標準化・規格化の推進
  • (7)規制改革
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近年、木質バイオマス熱、太陽熱、地中熱の導入は頭打ちになっている。こうしたなかでまとめた政策提言では、再エネ熱の導入促進を図るため、次期エネルギー基本計画において再エネ熱の導入目標を明確にし、再エネ熱の導入課題を整理し、実行ロードマップを策定することを掲げている。ロードマップにおいては、イノベーションだけでなく、既存技術の利用拡大も重要である。表4は、導入ポテンシャルを想定したもので、エネルギー削減量は31.6%としている。

ドイツなどで行われているような再エネ熱の導入義務化、再エネ熱の導入実態の的確な把握、分散的で安全な社会を目指すウィズコロナ政策への反映なども必要だろう。

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表5:バイオマス発電と熱利用の比較

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図5:再エネ熱普及政策のイメージ

図5:再エネ熱普及政策のイメージ

出所:いずれも加藤鐵夫氏資料

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5. 可能エネルギー熱の普及拡大に向けて

2050年温室効果ガス排出実質ゼロを達成するためには、最終エネルギー需要の半分を占める熱利用の再エネ化を図る必要があるが、関係者の間でもまだ認識が低いのが現状である。例えば、2020年末に経済産業省が発表した「2050年カーボニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(下図)においても、バイオマス発電や水素利用による熱利用は入っているが、再エネ熱は含まれていない。

日本の熱需要の55%が産業用の蒸気加熱、直接加熱で、半分以上が暖房需要である欧州とは構造が異なっている。再エネ熱のなかでもバイオマスは、数百度の高温熱を供給することが容易であり、工場での熱源としての利用事例もある。木質チップや農業残さなどが燃料であるため、一次産品加工や食品加工工場での利用がやりやすい。

脱炭素化に向けた熱利用ロードマップの策定について考えると、これまで日本では、電気、石油、ガスといった区分でエネルギー政策が行われており、「熱政策」として統合されてこなかった。熱の脱炭素化は、省エネ、断熱、廃熱、太陽熱、地中熱、地熱、バイオマス熱、再エネ電気および再エネ電気由来の水素等さまざまな選択肢があり、それぞれの特徴を活かした政策が求められよう。まず、地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画で位置づけ、熱利用の政策合意のための枠組みづくりや、オープンな議論と知恵の活用も重要である。

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図6:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略「カーボンニュートラルの広がり」

図6:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
「カーボンニュートラルの広がり」(経済産業省)【*14】に泊みゆきが一部加筆

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熱需要や熱供給についてのデータの充実が必要であり、欧州のような熱需要マップ、再エネ熱ポテンシャルマップなども有用だろう。住宅・建築物新設等の再エネ熱導入義務化など既存技術の応用で社会的コストの低い誘導策が可能ではないか。今後、製造業の脱炭素化に産業用バイオマス熱は必須となって来ようが、リースや熱売り、ESCOといった事業形態も含め、設備の導入ができる事業者を育成する必要がある。

また、バイオマスに関しては、今のところFIT制度で発電に偏っているが、FIT後の燃料の需要先としても熱利用が重要である。表5に整理したように、限られた持続可能なバイオマスは、今後発電に向けるのではなく、コジェネを含む熱利用等に使う方が温暖化対策として効果が高い。

2018年の第5次エネルギー基本計画において、再エネ熱について言及されているが、導入コストが依然として高く、認知度が低く事業者が十分に育っていないことが課題として挙げられている。

脱炭素化に向けた取り組みが行われるなかで、サプライチェーンを通じた取り組みが必要になる。環境省の支援では、来年度、公共施設でのエネルギーサービス、リースやESCOによるZEH、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)への支援も行う。

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表5:バイオマス発電と熱利用の比較

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今後、電化できるものは電化していくが、熱の非電力需要などでは、再エネの比率を上げて、2050年ゼロエミッションのシナリオをいくつか検討し、示していくということになるだろう。熱については、供給側だけではなく需要側でどうするかという議論が日本では遅れているのではないか。最終エネルギーベースの目標も必要だろう。エネルギー高度化法には熱のことも含んでおり、その活用も考えられる。

欧州のように熱部門の再エネ目標の設定も考えられるのではないか。その際には、熱需要の把握がされているのか、地域でどのような再エネ熱があるか把握した上でどうしていくかが、脱炭素化の向けては重要である。

太陽熱温水器を自宅に導入したが、5年程度で償却できそうである。太陽熱温水器をZEHにおける新築住宅の標準装備にすることも考えられるのではないか。ESCOの仕組みを使えば、初期導入費用を抑えられ、導入しやすい。

再エネ熱利用が重要だということは、政府でもわかっているが、費用対効果が問題になる。政府では地域脱炭素ロードマップをつくっている【*15】。EBPM(エビデンスに基づいた政策立案)が重要だ。

熱供給装置を個別に入れるとコストが高い。面的に考えるという視点はある。個別のボイラーだと10年以内に償却という考え方だが、地域熱供給なら20年、30年、あるいは50年の時間軸で導入することもありうる。

採算が合うことを示さないと普及しないが、どうすれば採算が合うところまで下げるかを戦略的に考え、どのようなビジネススキームを形成し、支援していかないと実現しない。

現状では、石油価格も下がっており、木質バイオマスボイラー導入を1/3補助でやっていくのは厳しい。長年、木質バイオマス熱利用に取り組んできたが、どこに問題点があるが見えてきた。一つは、バイオマスボイラーの規制緩和である。そうしたことも含め、普及のためのロードマップが必要である。民間にインセンティブをどう与えるかが問題である。燃料材のあり方も考えていく。

全体的にはカーボンプライシングが有効である。税制中立にして、税収を企業や家庭に還元すれば、経済的負担を和らげられる。バイオマス利用の拡大は、廃棄物発電に混焼するというように、既存のインフラを利用することも重要である。

過去に実施された補助金事業の検証が必要ではないか。これまで行われた実現可能性調査(FS)が膨大にあるが、それらのフォーマットをそろえたうえで、情報公開すれば、研究者が分析することができる。KPI(評価指標)を統一して共有し、誰もが検討できるようになるとよい。

費用対効果では、どんな便益があるか把握した上で検討すべきである。CO2削減、防災面、地域経済効果などのメリットも見た上で評価すべきだ。再エネ熱のノウハウを持つ設計事務所がどれだけあるか。これまでの事業のモニタリングを行い、データを公開して、ベストプラクティスを抽出し、地域にあった最適なモデルを広げていく。費用便益分析、指標と水準、CO2 1トンあたりの限界削減費用の国際水準が5,000円/t程度だとして、どのぐらい上乗せを許容するのかは、価値判断になる。より少ない負担で2050カーボンゼロの目標を達成するためには、限られた資金をどこに投入すればいいのか、未確定のリスクはあるが修正を加えながら考える必要があるのではないか。

また、電気と熱、電気自動車の蓄電池の利用といった、セクターカップリングも重要だ。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)で、バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針【*16】をつくり、改訂作業を行っているところだ。FSで事業構想、基本設計、実設計が整理されていない。地域で関係者の協力を得られないと事業が成立しないが、その点の確認が甘いケースがある。バイオマス燃料の規格、燃焼機器の性能保証、安全基準もまだ整備されていなかったり、普及が遅れている。これらを一歩一歩進めていかなければならない。

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