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2016年の動向

2 国内の動向

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1. バイオマス利用の概要

エネルギー白書2017によると、2015年度に利用されたバイオマスエネルギーは、1,272万原油換算㎘で、2014年度の1,234万㎘より3%増加し、一次エネルギー国内供給量の2.5%を占めた【*30】
 林野庁が2017年1月に発表した平成27年木質バイオマスエネルギー利用動向調査(確報)によると、平成27年(2015年)にエネルギーとして利用された木質バイオマスの量は、木材チップが690万絶乾トン、木質ペレットが16万トン、薪が5万トン、木粉(おが粉)が37万トンで、木材チップのうち、間伐材・林地残材等に由来するものは117万絶乾トンであった【*31】。木質バイオマスを利用する発電機の数は232基、ボイラーの数は1,945基だった。木材チップの都道府県別利用量では、茨城県68万絶乾トン、静岡県53万トン、福島県41万トン、岐阜県39万トン、北海道38万トン、宮崎県38万トン、千葉県33万トンの順である。間伐材・林地残材由来チップ利用量は、宮崎県18.2万絶乾トンが跳びぬけて多く、次いで島根県9.0万トン、高知県7.3万トン、北海道7.2万トンと、木質バイオマス発電が稼働した県が上位となっている。

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熱の用途別のボイラー基数を見ると、暖房、木材の乾燥、給湯、冷暖房、暖房及び給湯、製品の乾燥、ドライヤー、ホットプレスの順であった。木質ボイラーの業種別では、農業、製材業・木製品製造業、公衆浴場業、宿泊業、老人福祉等、集成材製造業、学校教育の順に導入基数が多く、農業や老人福祉施設等、学校教育ではペレットほとんどで、製材業、木製品製造業、集成材製造業やその他製造業では木くずが多く、公衆浴場や宿泊業では木くず、ペレット、薪が使われている(下図参照)。

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図:業種別燃料別木質ボイラー導入基数

図:業種別燃料別木質ボイラー導入基数

(平成27年 木質バイオマスエネルギー利用動向調査よりバイオマス産業社会ネットワーク作成)

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2015年における木質ペレットの生産量は12.0万トンで前年比0.6トンの減少、工場数は前年と同じ142だった【*32】 。2016年の木質ペレットの輸入量は34.4万トンで、カナダから26.1万トン、ベトナムから6.2万トン、中国から2.1万トンで、CIF平均価格は19.7千円/tだった【*33】
 アブラヤシ核殻(PKS)の2016年の輸入量は、前年比1.7倍の76.1万トンで、インドネシアから39.8万トン、マレーシアから36.3万トンである 。2016年のCIF全量平均価格は10.8千円/tだった【*34】

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2. 政策の動向(再生可能エネルギー電力買取制度については、トピックス1 参照)

2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」に、森林の管理経営を意欲ある持続的な林業経営者に集積・集約化するとともに、それができない森林の管理を市町村等が行う新たな仕組みを検討し、年内に取りまとめること、この検討は森林環境税の検討と合わせて行うこと、「地域内エコシステム」として木質バイオマスの熱利用等を進める、といった内容が盛り込まれた【*35】。森林環境税は、個人住民税に上乗せで課税されることが検討されている。
 また政府は、2017年4月、再生可能エネルギー導入拡大に向けた関係府省庁連携アクションプランを発表した。森林・林業施策や廃棄物処理・下水処理施策との連携によるバイオマス発電等の導入促進、バイオマス発電の燃料使用計画、使用状況のチェックシステムの運用などが盛り込まれている【*36】
 自民党の下水道・浄化槽対策特別委員会は、下水道の省エネルギーを進め、民間の創意工夫を最大限活用して成長産業に育てるための提言案を示した【*37】。下水汚泥やその他のバイオマス資源からエネルギーを生み出す拠点に変えることを強調している。
 国土交通省は、下水処理場における地域バイオマス利活用マニュアル【*38】を策定し、環境省は、食品廃棄物等の処理にメタンガス化システムを導入する場合にあたり、廃棄物系バイオマス利活用導入マニュアルを策定した【*39】。また、新エネルギー財団は、2017年3月、廃棄物発電システムの導入促進に関する提言を出し、目的外使用の問題などを提起した【*40】

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京都府立森林大学校、高知県立林業学校、長野林業大学校、いわて林業アカデミーなど、林業教育の場も急速に拡大しつつある。こうした場での木質バイオマス利用技術の普及も期待される。2016年度には、木質バイオマスエネルギー利用動向調査など木質バイオマスに関する調査や、木質バイオマスエネルギー地域実践家育成研修会などの研修事業など、バイオマス関係の施策も進められた(注23参照)。

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3. 種類別バイオマス利用の概要
 (発電および木質バイオマス熱利用はトピックスも参照)

小規模コジェネレーションの導入事例も増えつつある。ブルクハルト社のペレット燃料とする小規模木質バイオマスガス化熱電併給システムは、群馬県上野村に続き、岐阜県高山市でも稼働が始まった。チップを燃料とするSpanner社のコジェネレーションは、郡山市に加え、川場村などにも導入された。ボルター・ジャパン社も、潟上市の農業用ハウスや道の駅たかのすなどへ納入した。
 また、従来からの課題であったチップ乾燥もさまざまな取り組みが始まっている。コマツは、石川県の粟津工場で空調に使った後の排熱を、乾燥ドライヤーによりチップ乾燥を行っている。福井県の坂井森林組合では、径の細い間伐材を一年自然乾燥し、水分30%台に落として高品質のチップを製造している(目次写真参照)。また、コンテナ式やロータリーキルンなどの乾燥機も各地で導入が進んでいる。
 バンブーエナジーは、2019年より熊本県南関町で竹製建築資材を製造する工場に隣接して建材に適さない竹や残材を燃料とし、中外炉工業が提供するORC方式システムで、熱と電力を工場等のエネルギー源と供給する事業を開始する【*41】。また、日立製作所は、竹からカリウムと塩素を微粒化して水に浸すことで取り除く技術を開発した【*42】。宮崎県工業技術センターと清本鐵工の共同研究により、バーク(樹皮)ペレットに酸化マグネシウムを加えることでクリンカが発生しないことがわかった【*43】。このように、竹や樹皮といった大量にありながら使いづらかった資源の利用も徐々に進みつつある。また、バイオマスによる地域熱供給や農業ハウスを中心とした熱利用の取組も各地で広がりつつある。
 リコーは、静岡県御殿場市のリコー環境事業開発センターの空調・給湯用に、国産オヤマダエンジニアリング社のチップボイラーを導入した。御殿場市や森林組合・地元企業と協力し、伐採・集材・チップ供給のフローも作りあげ、リコーはこの経験を活かし、周辺の熱需要家に環境ビジネスとして、木質バイオマスボイラーの導入を働きかけている【*44】

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図:御殿場市リコー工場に導入されたチップボイラーのサイロにチップを投入するチッパー

御殿場市リコー工場に導入された
チップボイラーのサイロにチップを投入するチッパー

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メタン発酵においても、他のバイオマス利用と同様、コーディネートする企業が現れ、自治体の下水処理場にPFIなどで導入する例が相次いだ。2017年4月にオープンした武蔵野クリーンセンターのように、一般廃棄物処理場を地域エネルギー供給拠点として位置づける例も出てきている【*45】。同センターでは、発電効率を高めるため、乾式の排ガス処理装置を採用している。2017年4月、香川県三豊市でバイオマス資源化センターみとよが稼働した【*46】。同センターでは、ごみを粉砕し微生物の入った発酵物と混ぜてコンクリート製の発酵槽で17日間おいて分解処理し、水分が飛んだごみを固形燃料に加工し、製紙会社で石炭の代替として使用される。また、大阪市のあべのハルカスには、ビル内で発生する生ごみ等をメタン発酵利用する設備が導入された。
 これまで小規模ごみ焼却設備では発電が困難だったが、三井造船環境エンジニアリングなどは、佐賀県の唐津市清掃センターで220kWのマイクロスチームタービンを使用した小規模蒸気発電を開始した【*47】。また、日本企業やその海外子会社による海外での廃棄物発電・メタン発酵施設への事業進出も相次いだ。

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バイオ燃料では、経済産業省は、エネルギー供給高度化法に基づき、2011年より、燃料用エタノールの導入を図ってきた。当初の導入目標量の設定が2017年までであり、2016年度に、2018年以降の判断基準について詳細な検討・整理を行った。その結果、ブラジル産サトウキビの既定値を見直し、米国産トウモロコシ由来バイオエタノールの暫定値を新たに設けた【*48】。2015年度にも、米国や欧州におけるバイオ燃料政策等に関する調査を実施し、報告書を公開した【*49】
 また、2017年4月、宮城県石巻市にセルロースナノファイバーを年間500トン生産可能な量産設備が完成した。木材パルプを原料とする機能製シートや機能性添加剤など、幅広い工業用途での実用が見込まれる【*50】
 京都府は、府が作成する京都再エネポータルサイトに、府内のそれぞれの地域で太陽光発電、太陽熱、薪・ペレットなどの機器の施行などを行う事業者を掲載する京都再エネコンシェルジュを公開している【*51】。こうした情報の継続的・包括的な提供は、再生可能エネルギー導入促進に、大きく貢献すると考えられる。

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コラム③ 熊本地震における災害木くずのバイオマス発電利用

1. はじめに

熊本県内にNPO法人九州バイオマスフォーラム(以下、KBF)は、熊本県内に事務所を置いている。平成28年4月16日に発生した熊本地震は、プレート境界ではなく、浅い活断層で発生する直下型地震であるため、その断層に沿って大きな被害が発生した。KBF事務所はその断層から離れていたため、本棚や備品が壊れるなどの比較的軽微な被害にとどまった。地震直後から物資の運搬やボランティアのコーディネートをしながら、地元の廃棄物事業者の依頼を受け、災害木くずのバイオマス発電利用について準備を進めることとなった。本報告で後述する災害木くず処理の進め方は、必ずしも最適ではなかったかもしれない。しかし、農機具が納屋の倒壊によって出せずに困っている農家の方や、倒壊した家屋から貴重品や思い出品を一刻も早く救出したいという被災者のニーズがある状況下で、法令に従って適切に廃棄物を処理しなければならない地方自治体と、我々を含む関係者が知恵を絞って解決したプロセスは、今後起こりうるであろう地震災害の対応を迫られる自治体にとって、貴重な教訓となるであろう。そこで、あえて赤裸々に描くことで、至らない点があったかもしれないが、大規模災害時のやむを得ない判断の結果として理解をしていただきたい。ただ、災害廃棄物処理については、現在進行形であるため、自治体名をA町とさせていただいた。

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ボランティアによる倒壊した家屋の片づけの様子

ボランティアによる倒壊した家屋の片づけの様子

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2. 熊本地震

平成28年4月16日に発生した熊本地震の本震により、A町内でも震度6強(部分的には震度7を超えていたと思われる)の揺れにより、全壊118棟、大規模半壊95棟、半壊758棟、一部損壊1,567棟の被害が発生した。A町での災害廃棄物の発生量の推計としては、約64千トン。そのうち、17~25%が木くずと推計されている。
 公費解体が始まってからは、地震により被害を受けた建物が、つぎつぎ解体されて災害ごみとして仮置き場に持ち込まれ、山のようになっていた。この仮置き場がいっぱいになった場合や、雨天時で仮置き場がぬかるんだ際には、受け入れ停止となったが、その際には災害廃棄物を満載したトラックの運転手が、制止する係員に怒号を発するなど、持ち込む側にとっても受け入れ側にとっても、非常に厳しい状況に陥っていた。

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災害ゴミの仮置き場

災害ゴミの仮置き場

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3. 災害廃棄物とは?

地震などの自然災害によって発生した廃棄物は、事業活動に伴う廃棄物でないことから、自治体の処理責任となる一般廃棄物となる。災害廃棄物の中には、便乗ごみと呼ばれる廃棄物も多く発生し、純粋に災害によって生じたごみの判別が難しい。このことから、今回の熊本地震では6月ごろから、搬入許可証をもつ車両だけが災害ごみを持ち込めるようになった。A町では、平成24年度に発生した九州北部豪雨の災害の経験を元に、仮置き場では災害ごみを分別して処理しやすい形に仕分けしていた。このことは、A町内の解体や災害廃棄物を迅速に処理することにつながったと思われる。分別された木くずは釘やボルト、壁紙がついているものがあるが、比較的綺麗に分別されているように見えた。受け入れ側の細かな指導があったものと思われる。

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4. 廃掃法の特例

災害木くずを迅速かつ安価に処理する一つの方法として、チップ化して木質バイオマス発電所に持ち込むことが考えられる。そのためには、いくつかのハードルがある。一つ目が、チップ化施設に一般廃棄物処理施設の設置許可が必要であることだ。
 廃掃法による非常災害時の特例では、すでにあるチップ化施設が、産業廃棄物処理施設として許可を取っていれば、処理を開始した後の届け出でよい。しかし、A町においては近隣にチップ化施設がなかったために、既存施設を利用することができず、新たに移動式破砕機をA町内に搬入する必要があった。実はその場合でも、廃掃法第9条の3の3に、非常災害時の特例措置がある。これによると、非常災害時には、一般廃棄物処理施設の設置については届け出でよいことになっている。しかし、その環境影響評価について、条例に基づいて周辺の利害関係者に広告・縦覧しなければならない。ここで問題になったのは、この特例措置の施行が前年度(平成27年度)であったことから、この条例を、各自治体で制定するに至っていなかった。そのために、この特例措置が使えないことが明らかになった。
 一般廃棄物処理施設の許認可手続きは、通常は数か月から半年以上の時間を要するとされている。この許認可手続きを行う県庁の廃棄物関係課も、県内各地の自治体の廃棄物対策に追われており、県庁職員にとっても過労状態にあった。仮置き場が廃棄物で満杯になり、受け入れを停止するという状況も現実に発生していた。

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(産業廃棄物処理施設の設置者に係る一般廃棄物処理施設の設置についての特例)

第十五条の二の五  産業廃棄物処理施設の設置者は、当該産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物として環境省令で定めるものをその処理施設において処理する場合において、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その処理施設において処理する一般廃棄物の種類その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出たときは、第八条第一項の規定にかかわらず、同項の許可を受けないで、その処理施設を当該一般廃棄物を処理する一般廃棄物処理施設として設置することができる。

2  前項に規定する場合において、非常災害のために必要な応急措置として同項の廃棄物を処理するときは、同項の規定にかかわらず、その処理を開始した後、遅滞なく、その旨及び同項に規定する事項を届け出ることをもつて足りる。

第九条の三の三  市町村から非常災害により生じた廃棄物の処分の委託を受けた者は、当該処分を行うための一般廃棄物処理施設(一般廃棄物の最終処分場であるものを除く。)を設置しようとするときは、第八条第一項の規定にかかわらず、環境省令で定めるところにより、同条第二項各号に掲げる事項を記載した書類及び当該一般廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

2  前項の規定による届出をしようとする者は、同項に規定する第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類を作成するに当たつては、政令で定める事項について条例で定めるところにより、前項に規定する調査の結果を記載した書類を公衆の縦覧に供さなければならない。この場合において、当該一般廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者は、政令で定める事項について条例で定めるところにより、当該届出をしようとする者に対し、生活環境の保全上の見地から意見書を提出することができる。

3  第九条の三第三項から第十項まで及び第十二項の規定は第一項の規定による届出について、第九条第三項の規定は当該届出をした者について準用する。この場合において、第九条の三第三項、第四項、第八項及び第九項中「市町村」とあるのは「非常災害により生じた廃棄物の処分の委託を受けた者」と、同項中「第二項及び」とあるのは「第九条の三の三第二項の規定及び」と、「第二項中」とあるのは「同条第二項中「前項の」とあるのは「次項において準用する第九条の三第八項の」と、」と、第九条第三項中「第一項ただし書」とあるのは「第九条の三の三第三項において準用する第九条の三第八項」と、「同条第二項第一号」とあるのは「第八条第二項第一号」と、「当該許可」とあるのは「当該届出」と読み替えるものとする。

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5. 一般廃棄物処理施設設置許可申請

一般廃棄物処理施設の設置許可申請を提出するためには、その施設の環境影響評価報告書を添付しなければならない。しかし、その報告書をどうやって作成するのか?移動式破砕機を行き詰っていた状況の中で、「試験研究」により環境影響評価を行うというアイデアが出された。これは、廃棄物処理を試験研究により実施する場合は、計画書を届け出て設置の手続きをすればよい。これは早ければ1週間で手続きが完了する。一般廃棄物の場合は、届出先は基本的にはその自治体となっている。

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移動式破砕機

移動式破砕機

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この手続きにより、試験研究として移動式破砕機をA町に搬入し、1か月間稼働して騒音・振動などのデータを取得して、規制値内にあることを確認し、環境影響評価報告書を作成することができた。試験研究期間内に一般廃棄物処理施設の設置許可書類を準備・提出し、熊本県の担当課も最大限努力したことで、2週間の休止期間を挟んで無事設置許可をとることができた。このことで、日ごとに高くなっていた木くずの山の高さが、少しずつ低くなっていった。

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6. どこからどこまでが廃棄物なのか?

災害木くずの山が小さくなった一方で、ボトルネックとなっていたのが、チップを運ぶ運送車両の不足であった。熊本県内は、どこも運送車両が不足していたが、チップ化することで木くずのトラックへの積載量を増やすことができるので、効率的に輸送することができる(ただし、柱や梁などの径の大きい木材の場合は、チップ化するよりも、そのまま運んだほうが効率は良い。)。この時の整理では、災害木くずをチップ化しても、発電所に持っていくまではチップは廃棄物であるという扱いであった。平成27年の廃掃法改正により、災害廃棄物の収集運搬車両については、許可が不要になったが、搬入先がバイオマス発電所以外に、大分県内のごみ焼却施設にも搬入したため、車両の事前登録が必要などの手続きが必要となった。

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(一般廃棄物収集運搬業の許可を要しない者)

第二条法第七条第一項 ただし書の環境省令で定める者は、次のとおりとする。

一 市町村の委託(非常災害時における市町村から委託一市町村の委託を受けて一般廃棄物の収集又は運搬をを受けた者による委託を含む。)を受けて一般廃棄物業として行う者の収集又は運搬を業として行う者。

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7. 木質バイオマス発電所の受け入れ態勢

FITの認定を受けた木質バイオマス発電所は、買い取り価格の高い未利用材を中心として発電しているケースが増加している。A町に隣接している木質バイオマス発電所は、本来は未利用材を主体としている施設であったが、急きょFITの一般廃棄物の認可を取得して、災害木くずの受入れを開始した。

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バイオマス発電所のストックヤード

バイオマス発電所のストックヤード

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この発電所の判断は、経済性よりも熊本地震の復興支援の意図が大きかったと思われる。九州内の木質バイオマス発電所は、熊本地震によって発生した災害木くずでパンク状態になっていたと思われる。そのことで、未利用材が大幅に供給過剰となり、チップ工場の土場では未利用材が1年分以上も在庫が積みあがっているところもあった。発電所の燃料のうち、未利用材も一定の割合で使用しているが、災害木くずの含水率が低いために燃料のカロリーが高く、少ない燃料で定格出力がだせたことで、燃料の消費が減ったことも多少影響していたと思われる。発電所のチップ置き場を視察したところ、災害廃棄物と思われるチップがすでに大量に持ち込まれていた。どこの発電所も、受け入れ量を制限しているとのことであった。

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災害木くずのチップ

災害木くずのチップ

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8. まとめ

非常災害に備えた災害木くずのバイオマス利用について、簡潔にまとめると以下のようになる。

  • ●災害木くずの木質バイオマス発電への活用は、焼却処分と比較すると処理費の削減と迅速な処理の観点から効果的。
  • ●平時から、自治体は関係者を含めて、水害や地震災害による廃棄物処理計画を策定しておくべき。
  • ●自治体は廃掃法の特例を受けるための条例を制定しておく。
  • ●自治体は災害時の処理のため、管内の産廃施設を把握し、災害時に活用する体制を整備しておく。
  • ●木質バイオマス発電所は、一般廃棄物の木くずのFIT認定をあらかじめ取得しておく。災害木くずの受入れについて、自治体とあらかじめ非常災害時の協定を結んでおくとよい。
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9. 最後に

日本の住宅は木造住宅が多く、地震や水害などの大規模災害が発生した際には、多くの木くずが発生する。こうした木くずの受け入れ先として、木質バイオマス発電所の役割は非常に大きいと思われる。被災地としては、道路などのインフラの回復、貴重品や機材の救出、火災などの2次災害の予防などの観点から、迅速に木くずを処理したいというニーズがある。この熊本地震の教訓を踏まえて、災害木くずの処理方法や受け入れ態勢について、平時から準備を進めておくことが大切であると感じた。

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<NPO法人九州バイオマスフォーラム事務局長 中坊 真>

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  • <出典>
  • 1) A町廃棄物担当課
  • 2) 熊本県循環社会推進課災害廃棄物処理支援室 作成資料、2017年2月2日 セミナー配布資料
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