2005年3月25日より始まった愛知万博(2005年日本国際博覧会)は、2200万人以上の入場者を得て、9月25日に終了した。「自然の叡智」をテーマとし、バイオマスプラスチック導入やバイオマス他新エネルギーの実験も行われた。

 まず、バイオマスプラスチックでは、使用後も洗浄し繰り返し使う「リターナブル食器」が、25種類・約12万点使用され、 その後も中央省庁や都道府県庁の食堂に再利用されることになっている。一度の利用のみで廃棄する「簡易食器具(ワンウェイタイプ)」は、24種類・約2000万点を使用し、会場内で分別回収し、@マテリアルリサイクル:トレイや植物ポットなどの生活資材や農業用資材等としてリサイクルする Aケミカルリサイクル:合成原料に戻すリサイクルで、大学など実証実験中 Bバイオリサイクル:生ごみと一緒に会場外でコンポスト化し、農地や緑地へ還元して野菜や花卉を栽培し、また緑化推進される。
開幕直後の会場で使用された食器や食べ残しから製造した堆肥は、7月後半に畑に施用し、9月上旬に高原野菜として収穫して会場で"バイオリサイクル野菜" として展示・配付も実施された。ごみ袋もバイオマスプラスチック製のものを約55万袋を導入し、生ごみ袋をバイオマスプラスチック製にすることにより、袋ごと生ごみの再資源化(バイオリサイクル)が可能となった。また、パビリオンの日本館の壁面には、外装材として三井化学の材料技術とフクビ化学の押出成形技術・成形ノウハウにより、ポリ乳酸をほぼ100%原料として、耐候性、耐湿熱性、耐衝撃性、透明性に優れた壁面用パネルが採用され、多くの人の目に触れた。

 また、長久手日本館とNEDOパビリオンへの電力供給は、会場内レストランで発生した生ごみから生成したメタンガスや木くずなどを高温ガス化したガスを燃料とし、固体酸化物形(40kW)、溶融炭酸塩型(250kW×2基)、リン酸型(200kW×4基)の3種類の燃料電池と、太陽電池(330kW)とNaS電池を組み合わせたマイクログリッドで行われた。愛知博終了後この実証研究設備・プラントは、中部国際空港「セントレア」に隣接する中部臨空都市(愛知県常滑市)へ移設され、実証研究が継続される。
また、グローバル・ループと呼ばれる空中歩道には間伐材などが用いられ、案内幕もバイオマスプラスチック製であるなど、各所でバイオマス利用実験が行われた万博だった。

 マイクログリッド実証実験施設

 間伐材を使った道路

 木質プラスチックを使用した「千年時計」

バイオマスプラスチック製リターナブル食器