キルギス写真集

 

   

遊牧民のテント、ユルタとロシア製の簡易コ  ユルタとイシク・クル湖。対岸に天山山脈が見える。  地方では生活に馬が生きている。子どもも上手に乗る
ンロ。中の空洞に薪炭や石炭を入れ、                               
お湯をわかし、スープを煮る。

   

ジェティ・オグズ(7頭の雄牛)の奇岩            放し飼いにされ、そのへんの草を食むロバ。       首都ビシュケクで開催された環境セミナー。
                                             

 アラ・アルチャ自然公園。山の合間の遠方の山にうっすらと氷河が見える。

 

キルギス訪問記                                        

 キルギスと言っても、どこにあるか即答できる方は少数派かもしれない。旧ソビエト連邦のアジア諸国の一つ、最も東に位置する人口500万人、面積は日本の半分程度のシルクロード
の国である。
 2007年9月7日から15日にかけて、総勢40名あまりでキルギスを訪問した。 隣国カザフスタンのアルマティ市の空港に到着し、バスで数時間、ビシュケクのホテルへ。翌日、バスで
イシククル湖南岸のマンジュアタへ。

 キルギスの国土は95%が山岳地帯ながら、森林率はわずか5%。ゆえに、風景はえんえんと草がしょぼしょぼと生えた山が続く。そして平地の草原では、牛や馬やヤギが放牧され
ていた。作家・井上靖が焦がれながらまみえることができなかったイシク・クル湖は、ゆったりと美しく波打っていた。琵琶湖の9倍ある、「キルギスの海」と呼ばれるこの湖は、苦労して
命がけで天山山脈を越えてきた旅人には、この青さがどれほど美しく暖かな迎えに思えたことだろう。

 マンジュアタでは、村人たちが騎馬姿で出迎え。いかにも乗り慣れた黒っぽい馬にまたがった男性たちはとてもかっこいい。そして民族楽器コムスや口琴などの歓迎の演奏と食事。
降水量が少なく、農薬も化学肥料も使っていない野菜やくだものは濃厚な味。特に、黒っぽい葡萄が美味だった。キルギス産のウォッカやコニャックも出て、盛り上がり始める。その夜
は遊牧民のテントユルタに宿泊。ちょっと狭めのふとんで6人並んで寝る。ユルタの骨組みは木、テント地は羊の毛からつくられたフェルト。自然素材に囲まれてなんだかほっとする。

 翌日は、騎馬競技や鷹狩、娘さんたちの舞踊などを楽しんだのち、近くの小学校で凧揚げ。子どもたちの服装は日本とあまりかわらず、りんごのような頬をして屈託なく笑う。貧相な
子も肥満児もいなかったのが印象的だった。よく言われることだが、外見も日本人とよく似ている。 凧揚げは初めての体験だったようだが、子どもたちは説明を受けたあと、校庭で
めいめい揚げ始めた。上手に揚げる子や、なかなかうまくいかない子もいる。このツアーには、警備の警察官も同行していたが、そのおまわりさんまで凧揚げをしていたのには笑って
しまった。(子どもの方が上手だった。)

 その夜は、キルギスの抒情詩マナスの語りを聞いたり、キルギスの民族音楽を楽しんだ後、日本人も歌を歌う。このツアーは大半が退職後の方が多く、年代に応じた歌が出る。
ちなみに、最高齢者は85歳の団長の加藤先生だが、毎年キルギスやウズベクの遺跡発掘調査をしている加藤先生は日中の暑さにも負けず誰よりもかくしゃくとされていた。

 翌日は、「ジョティ・オグズ(7頭の牛)」と呼ばれる奇岩や、イシク・クルの見える丘に葬られた探険家プルジョワルスキーの博物館見学などをして湖北岸のチョルポン・アタへ。
奇岩の近くの村では、ロバに乗った幼い兄弟や、放牧に向かう牛の群れ、放し飼いにされて道端の草を食むロバなどを見ることができた。翌日も岩絵博物館やブラナの塔などを見学
して首都ビシュケクのホテルへ。

 実はこのあたりから、ツアー参加者に腹下しが続出(私も)。羊の油がいけないのか硬水があわなかったか。 13日のセミナーでは、キルギスの自然エネルギー利用や、日本での
バイオマスの取り組みや農村振興の事例、水素エネルギー利用技術などについて発表された。

 英語、ロシア語、日本語がとびかうという変則的な形ではあったが、スタッフが深夜まで翻訳した資料の助けもあり、今後の情報交換を約束した。水素プロジェクトでは具体的な進展
もあったとのこと。

 とにかく、キルギスは美しかった。ほぼ国土のどこからでも見える雪を冠する天山山脈。イシク・クルの湖面から昇る朝日。ビシュケク郊外のアル・アラチャ国立公園は、これまで私が
見た中で最も美しい風景だった。

  一人当たりのGNPが500ドル程度でCO2排出量が日本の1/10以下でも、教育(大学の学費が無料!)・医療などの社会的インフラや道路・電気などのハードインフラが整い、
ストリートチルドレンもホームレスも見当たらない、決して貧しくはない国だった。

 今、急速に市場経済化しつつあるが、是非、バランスのとれた発展をめざしてほしいと思う。

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