NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
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2004年9月

■インドネシア、パーム油のBDFを軽油需要の10%生産へ

インドネシアの科学技術研究応用庁(BPPT)は、パーム原油を利用したバイオディーゼル燃料(BDF)B10の試験運用開始を発表し、今後国内の年間軽油需要の10%に当たる160万キロリットルの生産量を目指す。価格面で競争力がないことから、政府の優遇措置が不可欠とし、BDFを利用する企業への減税措置や、BDF車への自動車税減税などを挙げた。バンテン州、リアウ州にそれぞれ日産能力1,500リットル、8トンの建設などを行っている。
(NNAアジア経済情報 2004年9月29日)

■滋賀銀行、BDFベンチャーに新株予約権を担保で融資

滋賀銀行は9月29日、バイオディーゼル燃料(BDF)製造のレボインターナショナル(京都市)に、市場拡大に伴う成長性を評価、1000万円を新しい融資手法で融資した。通常のベンチャー融資に比べて%程度低い金利を適用する一方、発行済み株式数の約0.7%にあたる80株分の新株予約権を無償で取得。将来、株式公開した場合、権利行使して取得株式を売却すれば利益が得られる。
(京都新聞 2004年9月29日)

■中国が木炭輸出を全面禁止

中国政府は10月から木炭の輸出を全面的に停止する方針であることが、明らかになった。森林保護など環境対策が理由。中国国家林業局は、森林被覆率16.55%を2050年に26%まで引き上げる国家目標を打ち出している。商務部は、03年8月、断面直径4cm、長さ10cm以上の木炭を禁止していた。日本の林野庁によれば、03年の中国産木炭の輸入量は6.2万tで、輸入量全体の半分以上を占める。特に備長炭として珍重される白炭の8割以上が中国産。4カ月程度の在庫があるが、国産の増産、マレーシアなどからの輸入量拡大、オガ炭への切り替え代替などで対応することになりそうだ。
(朝日新聞 2004年9月28日)

■フィリピン、バイオマスの利用拡大へ

フィリピン政府は、石油価格高騰が同国経済に与える痛手を緩和をめざし、バイオマス利用拡大に乗り出す。今年夏、政府が保有するディーゼル車にココナツオイルとメタノールを合成した「ココバイオディーゼル」の使用を義務付けた。ガソリン燃料も、今後3年で、10%をバイオエタノールに置き換える。フィリピンは風力発電なども含め、エネルギー自給率を現在の約5割から6割弱に高める方針。
(日本経済新聞 2004年9月27日)

■間伐材活用、高価格がネックで伸び悩み、低コスト利用法に転換へ

山梨県が地産事業や林道整備の現場で木製ガードレールなどとして活用している間伐材の使用量が工事コスト縮減の影響を受けて伸び悩んでいる。使用実績は1999年が2,986万m3、2000年が3,233万m3、01年が4,530m3と年々増えたが、02年度は3,526m3、03年度が3,679m3、04年度計画は2,836m2と横ばいか減少。県は丸太のままの間伐材を使った「土砂止めさく」、コンクリート製より20%以上経費削減となる「路面排水溝」施工など、コストを抑えられる活用方法への転換を進め、一定の使用量確保を目指す考え。
(山梨日日新聞 2004年9月24日)

■環境省、「社会的責任(持続可能な環境と経済)に関する研究会」を設置

環境省が、企業や監査法人、金融機関などの専門家や有識者による「社会的責任(持続可能な環境と経済)に関する研究会」を設置、第1回目の会合を9月30日に東京で開催する。CSR(企業の社会的責任)への関心、必要性が高まる中、国内の企業が目指すべきCSRとしての環境配慮や、行政の役割、支援のあり方などについて検討し、今年度中に結果を取りまとめる。
(J−FIC WEB NEWS 2004年9月24日)http://www.j-fic.com/

■大手自動車メーカー、バイオディーゼル(BDF)に関心

ダイムラー・クライスラーは、今後発売する「ジープ・リバティ」(日本名は「ジープ・チェロキー」)の全車をBDFに対応させると発表。同社が利用する燃料は、ディーゼル燃料にバイオディーゼルを5%混合した「B5」。同社は、木材、わら、トウモロコシのくずなどのバイオマスを原料とした新しいBDFの開発を支援している。GMの政府向け車両販売担当ビューチャムも、近い将来、「B20」が認可され次第、すべてのディーゼル車で利用可能にするため、保証範囲を拡大すると述べている。
(hotwired JAPAN 2004年9月23日)
http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20040928105.html

■中国の対日割りばし輸出批判と業界の反論

中国紙、国際商報によると、中国は2003年に世界30カ国以上に割りばしを輸出し、1.2億ドル以上を稼いだ。うち65%は日本向け。森林資源減少を防ぐため、中国政府は01年に全国的な伐採量の上限を設定。同紙によると、業界団体幹部は、割りばしに使われる木材は年150万t程度で、03年の木材商品生産量の約3%に過ぎないと説明。原料はカバなど繁殖力が強く用途の少ない樹木が中心だとして、環境への影響は小さいと強調している。
(産経新聞 2004年9月21日)

■愛媛県、「竹資源の循環利用促進プロジェクト」立ち上げへ

里山や休耕地に竹が侵入し、各地で竹林化が進行している問題で、愛媛県が対応策の検討に乗り出した。「竹資源の循環利用促進プロジェクト」を立ち上げ、公的管理や竹の有効活用を推進する。今年度中に実態把握や利用システムの検討、基本的な行動計画の策定などを行う。学識経験者や企業関係者らによる専門委員会(会長=立川涼・愛媛県環境創造センター所長)が発足し、作業を進めている。
(J−FIC WEB NEWS 2004年9月21日)http://www.j-fic.com/

■林野庁、平成15年の木材需給表を公表

林野庁が平成15年の木材需給表(丸太換算)をまとめ、公表した。用材の総需要量は対前年比1.1%減の8,718万4,000m3。供給面では、国内生産量が0.5%増の1,614万8,000m3となったのに対し、輸入量は1.4%減の7,103万6,000m3。この結果、木材(用材)自給率は前年より0.3ポイント上昇して18.5%となった。なお、製材用材の国産材シェアは32.3%。
(J−FIC WEB NEWS 2004年9月21日)http://www.j-fic.com/

■拡がるアサザ基金の活動

霞ヶ浦の生態系回復の活動を行っているNPO法人アサザ基金。170校の児童たちがアサザを種から育て、岸辺に植えるといった小学生による公共事業などさまざまなアイデアで住民9万人が参加、行政や企業、教育現場、里山の林業者や霞ヶ浦の漁業者などを巻き込みながら活動を広げている。00年には国は霞ヶ浦の水位引き上げ操作を凍結した。現在準備中の活動は、外来魚を買い取って魚粉にし、上流の農家が肥料に使う。菜種を栽培し、油をとり、それでローカル線の列車を走らせるというもの。
(朝日新聞be 2004年9月18日)

■ブラジル大統領自らバイオエタノールをセールス

ブラジルを訪問した小泉首相と首脳会談を行ったブラジルのルラ大統領は、日本への公式訪問の際に、エタノール燃料車を持っていく考えを伝えた。ブラジルは、エタノールの日本市場への本格参入に意欲を示している。同国は年間130億リットルを生産する世界最大のエタノール輸出国。小泉首相は、訪問初日からブラジル政府の強い要望で、エタノール工場を見学している。
(日本経済新聞 2004年9月17日)

■木粉研究会が発足

名古屋大学と名古屋都市産業振興公社などは、9月15日、中部の産学官が連携して木質系バイオマスの利用を推進する「木粉研究会」を発足させた。間伐材や建築廃材などからつくる木粉をガス化や発電、生分解性プラスチックなどの原料として活用する技術について情報を交換、共同研究などにつなげる狙い。事務局は名古屋都市産業振興公社が務める。
(日本経済新聞 2004年9月16日)

■モスフード、倉庫廃棄物をメタンガスリサイクル

モスフードサービスは、従来の京都での処理に加え、関東地区でも倉庫廃棄物(破損や損壊による不良品、一部賞味期限切れ食材等)の全量リサイクル処理を開始した。従来、モスフードチェーンの倉庫廃棄物は全て焼却処分されていたが、環境負荷を軽減する観点から、資源として再利用する取り組みを開始。関東ではジャパン・リサイクル(株)が運営する千葉バイオガスセンターを利用。既に倉庫廃棄物・約26トンを一括処理し、食材廃棄物は食品リサイクル法に準拠しているメタンガスにリサイクルされ、隣接する製鉄所の燃料として使用される。
(同社HP 2004年9月15日)http://www.mos.co.jp/company/press/press_040916_2.html

■岡山県でバイオエタノール実証プラント等建設へ

岡山県真庭産業団地では、三井造船が、木くずを原料とし、セルロースなどを糖化、発酵させてバイオエタノールを製造する実証プラントを今年度中に建設。1日2tの木くずで250kgの生産を見込む。旭町では、畜産バイオマスプラントを設置する。豚500等分の処理ができる規模で、予算は5000万円、1日当たり150kWの発電を見込む。
(読売新聞 2004年9月15日)

■静岡市の製材組合で木質バイオマス発電所が完成

静岡市牧ヶ谷の静岡製材協同組合で廃材を燃料とする木質バイオマス発電所が完成し、9月9日、記念式典が開かれた。乾燥樹皮などを破砕したものを燃料にして700-800℃で燃やす。発電タービン出力は230kW。国の構造改革事業としてつくられた。同組合には静岡市内22の製材業者が加入。発電所建設には約2億2050万円が必要だったが、国と市からそれぞれ1/2、1/5の補助を受けた。発生する熱は木材の乾燥に利用、午前8時から午後4時に稼動させる予定で、組合で使用する電力の55%程度を賄える見込みという。
(毎日新聞 2004年9月10日、静岡新聞 2004年8月29日)

■フランス、バイオ燃料の国内生産を3年で3倍に

仏政府は、バイオ燃料の国内生産を3年間で3倍近くに増やす計画を発表した。来春までに生産工場の建設プロジェクトを民間企業から募る。低コストの生産法を探るほか、税の軽減措置なども導入して利用を促す。サトウキビやジャガイモ、大豆などを原料とするエタノールやエステルなどバイオ燃料の仏国内生産量は年約45万t。計画では2007年末までにこれを約125万tに増やす。
(日本経済新聞 2004年9月9日)

■タスマニア原生林伐採によるチップ輸入に対し、アピール行動

国際環境保護団体グリンピース・ジャパンは、タスマニアで原生林の伐採を行っている企業から、日本製紙と王子製紙が大量のチップを輸入しているとして、都内にある両本社の前で2日にアピール行動を展開。「原生林破壊やめてください!」と呼びかけた。両社長に宛てたレターでは、伐採現場へ招待するので環境破壊の実態を把握するとともに、FSC認証林からの原料に切り替えるなどの対策を求めた。
(J−FIC WEB NEWS 2004年9月9日)http://www.j-fic.com/

■ロンドン国際石油取引所、CO2排出権取引開始へ

ロンドン国際石油取引所(IPE)は、9月7日、CO2の排出権取引を開始すると発表した。米国で排出権取引を手掛けるシカゴ・クライメート取引所との提携で排出権を金融商品化し、先物取引は年内に、現物取引は来年初めから取り扱う。欧州連合(EU)は来年1月から排出権取引制度を導入することにしており、IPEはこれに向けた受け皿をいち早く提供し、排出権取引ビジネスで先行したい考えだ。
(共同通信 2004年9月8日)

■ソニー、ポリ乳酸を使ったICカードを開発

ソニーは、ポリ乳酸の生分解性プラスチックを使った非接触ICカードを開発したと発表した。ソニーと三菱樹脂が共同開発。主原料のポリ乳酸と添加剤の配合方法などを工夫。シート状のプラスチックにはさんだICチップの通信特性やカードの強度を現在の製品と同等にできることを実証した。
(日本経済新聞 2004年9月2日)

■タイ政府、エタノールでサトウキビ需要急増を期待

タイのピニット工業相によると、エタノールの生産量は2年内に日産300万リットルと現在の10倍に増える予定。サトウキビの輸出量は2年で20%減の400万トンに減少しており、サトウキビの国内需要拡大による価格押し上げも期待できるという。エタノールの利用拡大で政府は、 1)原油の輸入依存度を下げ、ガソリンの低価格維持に使う補助金を減らす 2)価格低迷でサトウキビ農家に支払っている補助金を減らす の一石二鳥を期待している。
(NNAアジア経済情報 2004年9月2日)

■フィリピンとタイ、エタノール混合ガソリン推進で合意

フィリピン政府とタイ政府は、バイオ燃料の開発と利用を促進することで合意した。両国は、エタノール混合ガソリンに関する域内基準を設定することに合意。ASEANのエネルギー政策を主導する構えを見せている。両国はエタノールの利用促進に向け、域内の自動車業界にエタノール混合燃料対応のエンジンを導入するよう呼びかけることで一致。フィリピンはタイを域内におけるバイオ燃料の中心にすることへの支持を表明したとされる。
(NNAアジア経済情報 2004年9月2日)

■国内最大の食品廃棄物処理施設建設に着手

三菱重工は、バイオエナジーから、国内最大の食品廃棄物処理施設を一括受注、本格的な建設に着手した。メタン発酵技術によって日量110tを処理できる施設で、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)を導入、売電業務を組み合わせて事業化を狙う。2004年度末までに完成を目指す。総事業費は土地・開発費を含めて約39億円。東京都スーパーエコタウンの選定事業で、産業系、一般系の生ごみなど食品廃棄物をリサイクルする。東京都大田区城南島に4800m3の用地を取得している。
(化学工業日報 2004年9月1日)

■農水省、バイオマス・ニッポン総合戦略推進に333億円を計上

農林水産省が8月26日に発表した来年度予算概算要求によると、バイオマス・ニッポン総合戦略の推進に約333億円(前年度比50%増)を計上。従来実施していた「バイオマス利活用フロンティア整備事業」などに新規事業を追加した「バイオマスの環づくり交付金」(182億円)を創設した。これにより、バイオマス利活用計画の策定やバイオマス変換・活用施設の整備を促進し、バイオマスタウン実現に向けた地域の主体的な取り組みを支援する。また経産省は、マイクログリッド活用新エネルギー事業に新規に134億円、コーディネーター育成事業に1億円を計上している。
(環境新聞 2004年9月1日)