南アフリカではサイザル麻を加工 


南アフリカ共和国でも同じようなプロジェクトが進んでいます。南アでは、10年ほど前にアパルトヘイト(人種隔離政策)が廃止されましたが、その後経済的にはむしろ失業が増えるなど、厳しい状況が続いていました。ブラジルと同じように農村で暮らせなくなった人々が、都市のスラムに押し寄せて、大きな社会問題となっています。
 この問題は、農村に雇用をつくらなければ解決しないと考えた政府機関のスタッフたちは、農場、自治体、自動車メーカー、部品会社などと協力して、農場で栽培したサイザル麻を自動車部品に加工し、国内の自動車工場で使うプロジェクトを計画し、数年をかけて成功させました。今後は、自動車部品以外の商品開発や、サイザル麻以外の作物の加工なども行っていく予定です。
 貧しい人々に一方的なほどこし施しを与えるのではなく、ビジネスパートナーとしてお互いに利益を得ながら、地域のバイオマス資源を活かし、環境保全にもなる、そうした事業のやり方は、今後ますます広がっていくことが期待されます。