さまざまな用途で利用可能な麻


日本でも古くから衣類や生活用品に使われてきた麻(大麻。英名はヘンプ)は、最近、紙、断熱材などの建材、自動車の部品などへの利用が進んでいます。また麻は、昔忍者が修行に使ったといわれるほど成長が早く、そして綿花のように大量の化学肥料や農薬を使わなくても栽培できる作物です。繊維を衣類に使う他、繊維をとりだす以外の部分を炭にして花火の原料にしたり、燃料利用することも可能です。さらに、味唐辛子にも入っている麻の実は、コクのある大豆のような風味がある栄養食品で、料理やお菓子、ビールなどの食用や、化粧品や石けんに使うこともできるといった具合
に、麻は付加価値の高い作物です。
 こうしたことから、1990年代にヨーロッパ諸国では次々にマリファナ成分(THC)のほとんど含まれない産業用大麻が解禁され、EUの助成金もついたことから、1998年には栽培面積が1.6 万ha に増えています。
 日本では、大麻取締法によって麻(大麻)の栽培は許可制となっています。しかし、麻が非常に有用な作物であることが知られてきたことから、一部の自治体で、麻を使った地域おこしの取り組みが始まっています。