エタノールの利用 建築廃材や生ごみを原料とするエタノールを自動車燃料に



 実現可能性の高い温暖化防止対策として注目されている方法の一つが、ガソリンへのエタノールの添加である。エタノール(エチルアルコール)とは、お酒の主成分であるアルコールの一種で、メタノールに比べ、安全性の面で優れている。
 すでに米国では、年間560万キロリットルの燃料用エタノールが生産され、全国で販売されているガソリンの12%に、エタノールが添加されている。エタノール添加ガソリンのの多くは、10%の割合でエタノールが加えられている。添加の理由の一つは、排ガス対策で、大気汚染物質である、SOx、COの削減になる。ガソリンにかけられている税を免除または軽減し、競争力を向上させている。もう一つは、農業対策である。米国産エタノールの多くには、米国国内の余剰トウモロコシが使われているが、穀物以外のセルロース系を原料とするエタノールの開発も進められている。
 ガソリンへのエタノール添加のメリットは、従来の自動車やインフラがほぼそのまま使えることである。運転性(driving)もほとんど変わりがない。
 
 また、世界最大のエタノール消費大国はブラジルである。ブラジルでは、千数百万キロリットルのエタノールが生産されている。ガソリンに20%程度のエタノールが混合されており、エタノール(アルコール)車も多く走行している。
石油危機で生じた原油価格の高騰と、多額の対外債務を抱え、石油輸入に使う外貨を節約するため、インフラを整え、サトウキビからのエタノールを増加させた。1984年には、ブラジルで生産される自動車の9割以上が、エタノール車で占められていた。市場が開けたことで、サトウキビ生産も拡大し、農村や加工分野での雇用も増加。サンパウロ近郊だけでも、1万1千人の農民が、エタノール向けサトウキビ栽培に従事している。現在も、法律でガソリンに22%の添加が義務付けられている。
 日本でもアルコール製造の専売が規制緩和の一環で2001年3月に廃止され、エタノール利用の道が開けた。ブラジルでは、エネルギーの5〜7割を削減する「ナノポーラスメンブレン」法を開発し、この技術を導入すれば、ガソリンより安価にすることができると期待されている。

 

バイオマスからのエタノール酵素原料製造プロセス(アルケノールプロセス)
提供:日揮株式会社