バイオマス発電の普及に向けて


  これまで日本で実用化しているバイオマス発電はほとんど、工場内の電力をまかなうといった自己消費型でした。日本では、買電のためのシステムが整っておらず、そのため潜在的に供給可能なバイオマスエネルギーが活用されてきませんでした。また、林業廃棄物などによるバイオマスが、エネルギー供給の20%を超えるスウェーデンのように、炭素税、硫黄税などにより、バイオマスの価格競争力をつけることも、普及の上で大きな要素となるでしょう。
 1997年の京都会議で採択された京都議定書で、日本は、二酸化炭素などの温室効果ガスを、6%削減することが規定され、これを遵守するための方策として、近年、バイオマス発電が大きくクローズアップされるようになっています。
 これを受けて、風力発電で始まったグリーン証書システム(通常の電力料金と自然エネルギーによる電力の価格差を支払うことによって、自然エネルギーを利用したと見なすシステム。差額を支払う企業等は、二酸化炭素発生量を削減したと見なされるなどのメリットがある)が、バイオマス発電に拡大される動きがあります。また自然エネルギー促進法が国会で審議されるなどの取り組みも始まっています。
 日本においても、バイオマス利用のメリットについての認識が徐々に広まりつつあり、強力な政策が行われれば、バイオマス利用はかなり拡大していくものと思われます。また、現在研究が進んでいる燃料電池や分散型発電システムが普及すれば、バイオマス発電の可能性は、さらに高まるものと考えられます。

 


写真 岡山県の製剤所内に建てられた木くずなどを燃料とするバイオマス発電施設
(写真提供:銘建工業株式会社)


写真 廃材木などから発電、熱供給、メタノール製造等を行っているプラントのメタノール反応器
(写真提供:ドイツSVZ社 Sekudaerrohstoff Verwertungs Zentrum)